インターハイ神奈川県予選
Cブロック決勝、陵南 × 三浦台
ハーフタイム終了。
湘北が見せたダンクショーは観衆を大いに沸かせた。
「いいぞーーー!! 湘北ーーー!!!!」
「試合も期待してるぞーーー!!!」
宮城 「へへっ、反応は上々だな」
そこへ
陵南ベンチから仙道が声をかける。
「桜木ーー、ちゃんと死ぬほど練習してるか?」
桜木 「ぬ、センドー。早くも偵察か?」
彩子 (どこが偵察なのよ)
仙道 「フッ。自信ありげな顔してやがるな」
桜木 「決勝リーグ、覚悟してろ」
仙道 「ああ、楽しみにしてるぜ」
そして、流川に視線を向ける。
流川 「………。」
仙道 (鋭い目だな。どうやらこっちも気合い十分らしい)
その様子を眺める天崎。
(仙道彰、流川さんに勝るとも劣らない実力者…。決勝リーグに行けば
あの人とも勝負できるかもしれない)
荒石はセンターの菅平と、控えの1年生ビッグマン、高松をチェック。
(アイツらが俺の相手か。どっちもデケエな)
宮城 「よーーし、戻るぞ。ちゃんと汗ふいとけよ」
「オウ!!!」
後半――――
「おおお!! 陵南がメンバーを代えてきたぞ!!」
「11番と12番!!」
背番号11、相田彦一/PG/165cm
背番号12、高松大治/C/191cm
観客席に戻った湘北メンバー。
天崎 「あ、高松だ! やっぱり出てきた!!」
野茂 「陵南でどんなプレーを見せるか、注目だな」
桜木 「あれは、彦一!」
宮城 「なんだ、アイツも選手だったのか」
(てっきりマネージャーかと思ってたぜ…)
彦一、観客席の宮城を見つめる。
(宮城さん、アンタがワイの目標や。決勝リーグで対戦できるように
みっちり練習してきたで)
桜木 「なんかリョーちんの顔ずっと見てるぞ」
宮城 「気持ち悪いな…。ヘンな趣味があるんじゃねーだろうな」
『ビビーーーーーーーー!!!!』
『始めます!!』
陵南高校ラインナップ
4 仙道/F/192cm
5 越野/G/174cm
7 福田/F/190cm
11 相田/G/165cm
12 高松/C/191cm
越野がボールを運ぶ。
「よーーっし、行くぞ!!!」
宮城 (ん? 彦一って奴が運ぶんじゃないのか…?)
陵南、外角でボールを回す。
そして、ハイポストの仙道へ。
「来た!! 仙道だ!!」
フリースローライン付近で、ゴールに背を向けてボールを保持する仙道。
「4番、チェックだ!!」
三浦台ディフェンスが警戒する。
ダム!!!
仙道、その場で高速ターン!
一気にゴールに向かう。
「速い!!」 「凄いターンだ!!!」
キュキュ!!
「4番、中来るぞ!! 潰せ!!」
ゴール下の守備陣が仙道を囲う。
次の瞬間
ビッ!!
仙道からのノールックパスが飛ぶ。
ディフェンスを収縮させておき、ボールは外へ。
「おおお!! ナイスパス!!」
「さすがは仙道!!!」
パスコースの先に立っていたのは、
桜木 「彦一!!!」
バシ!
彦一にボールが渡った。
(ワイには宮城さんのようなスピードはない。牧さんのようなパワーも、
藤真さんのようなテクニックも)
ボールを構える彦一。
(ワイの武器はこれや!)
ビッ!
彦一、クイックリリースのスリーポイント。
宮城 「おお…! モーションが速え!!」
桜木 「おっ…!!」
彦一、フォロースルーの手を高く掲げてボールの行方を追う。
(仙道さんとフクさんにディフェンスが集中した後がワイの仕事なんや!)
ガン!!!!
宮城 「…!?」
桜木 「外れた…」
彦一 「し、しもた…!!!!」
(色々カッコええこと考えすぎた…!!)
宮城、眉間にシワ。 「なんだそりゃ…」
桜木 「カッカッカ、アイツらしいオチだ!」
そのとき、天崎が叫んだ。
「桜木さん!! ゴール下、注目ですよ!」
桜木 「ぬ?」
「うおおおおーーーー!!!!」
バッシイイ!!!
陵南の1年生センター、高松がリバウンドを奪った。
「12番!! 高ああい!!」
「前の練習でダンクかました奴だ!! さすがに高い!!」
天崎 「来ますよ!!」
ダム!!!
高松、強引に中に入り込み…
ドン!!
ディフェンスに体をぶつけながらシュート。
バス!!!
『ピーーーーー!!!!』
『ファウル!! バスケットカウント・ワンスロー!!!!』
高松 「っし!!!」
田岡 「よーーーっし!!!!」
「おおおお!!!」
「強い!! 12番!!!」
桜木 「ほう」
天崎 「アレがアイツの武器です。ゴール下の肉弾戦」
宮城 「なるほど。魚住と同じようなタイプってことか」
桜木 「ボス猿二号」
宮城 「オイ荒石、あのセンターをよく見てろ」
荒石 「ああ、わかってるよ」
(パワーは結構ありそうだな…)
桜木、ニヤニヤ。
「お前のヒョロヒョロな体じゃぶっ飛ばされるな、カクジツに」
荒石 「ケッ、まあ見てろ」
(アイツには花道対策がそのまま使えるな)
そして
『ワンショット』
ガン!!!
高松、フリースローを外す。
天崎 「ただし、バスカンのあと、半分くらい外します」
野茂 「変わってねえな…」
田岡 (またやったか…)
宮城 「そんなとこまで魚住に似てるのか…」
桜木 「さすがボス猿二号」
彩子 「陵南の新顔はなにかとオチがついてくるわね」
安田 「ただ、陵南のオフェンスパターンが増えているのは確かだ」
潮崎 「そうだな。外と中に新しいオプションを作ってきてる」
ガン!!!
コートでは彦一の二本目のスリーポイントが、リングに弾かれていた。
頭を抱える彦一 「あああ!! 入らん…!!」
ダン、ダン……
そのままボールはコートの外へ。
越野 「落ち着け、彦一!!」
彦一 「ハイ!! 落ち着きます!!」
越野 (なんだその返事は…)
植草 「彦一、ものすごく緊張してますね…」
田岡 「ま、まあ、最初だからな…」
観客席の湘北メンバー。
天崎 「あの人もしかして、あまりスリーは得意じゃないんじゃ…」
宮城 「い、いや、油断は禁物だ…」
安田 「新しいオプションなんだよな、多分…」
再び観客席に目を向ける彦一。
(ち、違うんです、宮城さん! ワイはホンマに血の滲むような努力を…!)
桜木 「なんか、またリョーちんの顔見てるぞ」
天崎 「しかも凄い必死そうな顔で」
宮城 「なんなんだ、一体……」
陵南ベンチ
植草 「なんか客席に向かって訴えかけてますよ」
田岡、眉間にシワ。 「全然試合に集中しとらんな…」
(交代、か…)
彦一 「ああ、こんなはずでは……!!」
相田彦一、ほろ苦い夏のデビューであった。