[ 2011年05月31日 ]

#260(大学編)……ジェットコースター

深体 71
青葉 73

深体大が二点差に詰め寄ったところから、両軍連続で攻撃を失敗。

あわせて3度のターンオーバーを数え、深体大ボール。


互いの意地のようなディフェンスを先にこじ開けるのはどちらなのか。

そして、試合開始以降、全ての時間を青葉リードで展開してきた
この試合の流れは変わるのか。


牧 「ここで追いつく」


道谷《さあ、今度こそ得点が入るか》

塚本《いや、それよりもまずシュートまで行けるか、でしょう。
3連続ターンオーバー中ですから。まずは撃てるかどうか》



牧、ボールを保持。

マークは藤真。


ダム、ダム、ダム……


「また1対1で仕掛けそうだ!!」

「ペネトレイト、狙ってるか!?」


赤木 「やはり、ここ一本はキャプテン・牧か」

宮城 「さっきの神のスティールで火が点いてるかも」


キュキュ!!!

諸星と伊達健太が動き出す。


藤真、後方に陣取るメンバーに声をかける。

「ドライブからパス出るぞ!! マーク厳しく!」


「オウ!!!!」

青葉メンバーの足が、ますます機敏に動く。


中村 「守備の体制は万全だ」

弥生 「藤真君のリーダーシップも相当なものね」



牧 (抜く!)

ダム!!!!!


塚本《行った……!!!》


藤真がマーク。牧のドリブルに並走。


ダム!! キュッ!!!

牧、強引なステップイン。


「またパワーで行った!!!」


藤真に体をぶつけながら、自分の体をねじ込む。


ドン!!!

藤真の上体がよろける。バランスを崩す。

(……!!!!)



「強ーーーーーーーーい!!!!!」



青葉ベンチ 「チャージだ!!!!」


審判、動かず。ホイッスルはない。

―――ノーファウル


桜木 (トーゼンだ。あのくらいで吹っ飛ぶほうが悪い)



そして、ゴール下、ワンハンドジャンパー。


赤木 「決まった……!!」

三井 「いや…!!」



森重が跳んでいた。


杉山 「ゴール下にはアイツがいる」



が、


牧は跳んでいなかった。


杉山 (なに…!?)


深体大ベンチ総立ち。 「上手ええええええ!!!!!」

塚本《ナイスフェーーーーイク!!!!》


キュ!

牧、森重を飛ばしておき、もう一度ピボットを刻む。



そして


バス!!!



深体 73
青葉 73


塚本《来たあああーーーーーーーー!!!!》



「決まったああーーーーーーーーーーーーー!!!!」

「やっぱり牧だ!! キャプテン・牧が決めた!!!!」


放送席が絶叫。

道谷《同点!!! 同点!!! 同てーーーーん!!!!!》

塚本《ついに捕まえました!!!!》


深体大ベンチ、いっせいにガッツポーズ。

「うおおお!! 牧さん!!!」

「さすが!!!」


宮城 「やはり、決めたか……」

(なんで、あんなゴール下のコンタクトプレイの後に
冷静なフェイクができるんだよ…)


清田、絶叫。 「うおおおおお!! 牧さん、凄すぎるぜ!!」

仙道、苦笑い。 「恐ろしい…」



4thクォーター 3分

試合開始時の0-0以来、深体大が初めて同点に追いついた。


弥生 「ここから深体大が一気に来るわよ」




しかし、


8秒後、同点の時間があっさりと途切れる。



バッ


「藤真…!!!!?」

「いきなり撃った……!!!」



弥生 「え……!?」

牧 (……!!!?)



ボールを回すそぶりを見せながら、藤真が虚をつくスリー。


天崎 (え!? ウソ!!?)

神 (予想外)


味方すら不意を突かれていた。

会場にいる全員が裏をかかれ、唖然としている。


そんな一瞬訪れた静寂の中、



ザシュ!!!!!


高く美しいアーチを描いた、ゆるやかな弾道のシュートが
ゴールを射抜いた。



深体 73
青葉 76


「………!!!!!!???」


次の瞬間、青葉ベンチ、青葉応援団が爆発する。



「うおおおおおおおおおおーーーーーーーー!!!!!!」

「来たあああああーーーーーーーーーー!!!!」

「藤真さん!!!」

「藤真さあああーーーんん!!!!」


陸川が、空気を殴るようにコブシを突き出す。

「よおおおーーーーっっし!!!!!」


花形も思わず叫ぶ。 「藤真!!!!」

別ブロックに座る長谷川や高野も。

「さすが藤真!!!!!」


道谷《なんという男でしょうか! 藤真健司、わずか8秒で
リードを奪い返しました!!!!》

塚本《普通は大事に行くところなんですがね。大胆な選択です!》



仙道、再び苦笑い。 「コッチも恐ろしい…」



藤真、コブシを突き上げる。

「っしゃああああ!!!!!」


弥生、呆然。

「す、すごい……。ここで深体大を突き放せる選手が
日本の大学にいるなんて…」



だが、

その青葉のリードも10秒しか続かなかった。





ザシュ!!!!


塚本《諸星、来たああああーーーーーー!!!!!》


「うわああああ!! 決めたあああーーーー!!!!!!」

「しかもスリーで返したあああ!!!!!」


深体 76
青葉 76


道谷《また同点!!! なんという試合でしょう!!!
一瞬、得点が止まったと思ったら今度はスリーを連発!!!》



深体大ベンチが立ち上がる。

「諸星さん、ナイッシューーーーーー!!!」

「牧さん、ナイスパス!!!!」


この諸星のスリーを生み出したのは、牧。

ドライブで一瞬ディフェンスを崩してからのパスアウトだった。


バチン!!!

諸星と牧がハイタッチをかわす。


諸星 「最高のパスだぜ、牧!」

牧 「オウ!! よく決めた!」



宮城、驚きの表情。

「いつもの牧なら自分で獲り返しに行くところなのに…」

赤木、腕組み。

「ここで個人のプライドにこだわっているようでは、
この頂上決戦には勝てんということか…」


ギク!

桜木 (……)


杉山、ニコリ。

「聞いたか? 桜木。 ムキになって無謀に突っ込むようでは
戦いには勝てないと。心当たりはないか?」

桜木、眉間にシワ。

「ぬぬぬ……。ジイの野郎がこのプロより冷静だと?」



同点から8秒後に3点差。

そして、10秒後に再び同点。

これぞシーソーゲームと言わんばかりの展開になってきた。



道谷《まるでジェットコースターのようなゲームです。
頂上決戦は物凄い戦いになってまいりました!!!》

塚本《もはや、ちょっと怖いくらいですよ!! 何度も言いますが
大学生の試合じゃありませんよ、これ!!》


アナウンサーが“ジェットコースター”と形容したこのゲームは
ここから膠着状態に突入した。

点の取り合い、そして守り合いを繰り返しながら、ゲームタイムは
残り時間を少しずつ減らしていった。


4thクォーター残り4分

深体 80
青葉 80



4thクォーター開始直後の連続ターンオーバーで訪れた
勝負のポイントは互いに譲らなかった。


そして、まもなく次のポイントがやってくる。


静かに勝負の時を待っていた、ゴール下の怪物が
いよいよその恐るべき能力を爆発させようとしていた。


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大学編
目次

引用「Kの部屋」

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