関東学生トーナメント決勝戦・ハーフタイム。
放送席控え室への通路を桜木が歩く。
隣を歩くのは、森尾と杉山にひと通りの挨拶を済ませた沢北。
少し後ろを杉山と森尾が歩く。
沢北 「とりあえず座るか」
桜木 「うむ」
通路のロビーに腰掛ける二人。
森尾と杉山は放送席控え室に入っていった。
ガチャ
控え室。
「お、お帰り」
塚本と道谷が森尾に声をかけた。
そして後ろにいる大男に気づく。
塚本 「おっと、杉山くん。久しぶりだね」
杉山が軽く頭を下げる。
「塚本さん、ご無沙汰してます。道谷さんもお久しぶりです」
森尾、ニヤリ。
「道谷さん、塚本さん。僕より喋れる奴を紹介に来ました」
杉山 「え…?」
森尾 「コイツ、解説上手いんですよ。次の機会は是非、放送席に」
杉山 「ちょっ…、何言ってるんですか、森尾さん」
塚本がニコリ。
「道谷さん、噂だと今回オーバーエイジは使わないらしいですから
ユニバのゲスト解説に推薦したらどうですか?」
道谷がニコリ。
「それはいいですね。代表メンバーと実際にコートでプレイした
選手の解説かあ。今度、局に言っておこうかな。」
杉山 「あ、あの……」
(来るんじゃなかった……)
グッ!
森尾、小さくガッツポーズ。
ロビー。
沢北 「随分デカくなったな、桜木。いま何cmだ?」
桜木 「198」
沢北、ため息。
「ふぅー、7cm差か。もうお前にはゴール下は勝てないかもな。
体重も100?近くはありそうだな、相当鍛えたか」
ギン! 桜木、腕組み。
「プロとしてトーゼンのことよ。外国人に負けるわけにはいかん」
沢北 「なるほど。プロか」
桜木 「ぬ? 嫉妬してるのか、小坊主?」
沢北 「いや、悪いが俺もプロだ」
桜木 「ぬ?」
沢北、立ち上がって、自動販売機でドリンクを2本購入。
1本を桜木に投げた。 「飲めよ」
プシュ
桜木、蓋を開ける。
「お前もプロなのか?」
プシュ
沢北も蓋を開ける。
「まあ、予定だけどな。2年後には日本人NBAプレイヤー第2号の
ニュースが新聞に載るはずだ。一応ドラフトに指名されるだけの
実績は揃えていってるつもりだ」
桜木 「NBA第2号?」
沢北 「ああ。あ、そういやお前、第1号の弟と対戦したんだよな?」
桜木、考え込む。 「弟…」
(NBAの弟……)
そして、思い出す。
「おお、アイツか。そういや兄貴がNBAだとか言ってたような。
しかしなぜお前が知っている?」
沢北が笑う。
「まあ、一応後輩だからな。お兄さんも俺の先輩だし。
二人とも被ってないから一緒にプレーはしてないけど」
桜木 「NBA……、アメリカか…」
沢北 「ああ。だから今度のユニバでもいいプレーをしねーとな」
「アメリカ……」 桜木、うつむいたままつぶやいている。
(はは~ん、さてはコイツ)
沢北、ニヤリ。
「流川もプロになるかもしれないぞ」
桜木 「ぬ?」
沢北 「それが聞きたかったんだろ? 顔に書いてたぜ」
桜木 「な…、なにを…!!」
ゴク
沢北、一口飲んでから続ける。
「アイツは今スタメンとサブのギリギリのラインにいる。
これからのプレー次第だな。チームでのポジションを掴めば、
ドラフトにかかる可能性は十分あるぞ」
桜木 「ルカワは…」
沢北 「ん?」
ゴク
桜木も一口飲む。
「ルカワは俺が倒すんだ。アメリカごときでコケることは許さん」
沢北 「フッ」
ガチャ
控え室のドアが開いた。
杉山 「桜木。そろそろ後半だ。席に戻るぞ」
桜木 「お、もうそんな時間か」
桜木はドリンクを飲み干し、ゴミ箱に捨てた。
「じゃあな、小坊主。アメリカに負けんなよ」
沢北、ニコリ。 「ああ、もちろんだ」
杉山も一声かける。 「期待してるよ。ユニバもNBAも」
沢北 「はい。ありがとうございます」
「じゃ、行くか」 杉山、桜木が歩き出す。
沢北が桜木の背中を見ながら思う。
(桜木、お前も来い。アメリカで待ってるぞ)
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引用「Kの部屋」