残り 2分30秒
深体 79
明利 65
残り時間から考えると、決定的ともいえる点差がついた。
観客席の弥生。
「これは決まったわね…。ここから追いつくのは不可能だわ。
相手が深体大だけに」
町田がうなずく。
「決まりましたね」
コートサイドの藤真や陸川も同じ表情だった。
「勝負あった」
だが
「よーーっし!! 一本行くぞ!!!!」
宮城の声が会場に響く。
「オウ!!!」
明利メンバーが大きな声で呼応する。
弥生 「宮城君…!?」
彦一 「宮城さん…」
赤木 「最後まで諦めるな!! 行くぞ!!」
「ゴリ!」 桜木が思わず腰を浮かせる。
「お兄ちゃん!」 晴子が涙ぐんだ表情で見ている。
杉山、ニコリ。 「アイツららしいな」
彼らは諦めてはいなかった。
明利ベンチのメンバーがいっせいに立ち上がり声を出した。
「さあ!! 一本!!」
「赤木さん、ファイトーー!!!!」
観衆がざわめく。
「あいつら……」
ボールは、宮城からハイポストの花形へ。
花形はディフェンスを軽くひきつけてローポストの赤木に展開。
「ハイ・ロー!!」
久々のツインタワーによるコンビネーション。
ボールは赤木に入り、河田との1対1。
そして、赤木らしい強引なステップからシュートへ。
赤木の圧力に河田が押し込まれる。 「ん…!!」
赤木 「負けん!!!」
バス!!!!
深体 79
明利 67
赤木、ゴール下のパワー勝負からゴールを奪った。
そして、雄叫びを上げる。
「ウオオオーーーーーーー!!!!!!」
このプレーに観客が立ち上がった。
「おお…!!」
「おおおおおおーーーーーーー!!!!!!」
「赤木ーーー!!!」
「明利はまだやるぜ!!! アイツらは諦めてねえ!!!」
三井、ニヤリ。
「バカヤロウ、赤木が諦めるわけねだろ!」
そして、ディフェンス。
牧のドライブを宮城が食い止める。
明利ベンチ 「ナイススディフェンス!!」
「ちっ…」 牧、パスアウト。
外にさばかれたパスに対しても木暮と畑山がいち早くチェック。
ノーマークを作らせない。
「お! いい動きだ」
藤真、少々驚いたような表情。
そして、樋口のシュートを花形がブロック!
バッシイイ!!!!!
「おおおおーーーーーー!!!!」
「止めたああーーーー!!!!!」
このこぼれ球を畑山が拾い、宮城にパス。
「速攻!!!」 宮城の声が再び会場に響く。
だが、深体大は素早くディフェンスに戻り、速攻を許さない。
弥生 「さすがね」
町田 「速攻ならず」
(んなもん関係ねえ。勝負だ、牧)
宮城、眼前の牧に対しドリブル勝負を挑む。
ダム!!!
今日最速ともいえる一歩で牧を抜いた。
「うおおーー!! 速えええーーーー!!!!!」
「すげえぞ!! 宮城!!!」
唐沢 (この時間であんな動きが…!?)
宮城、ゴール下に突入。
キュキュ!!
すかさず深体大ディフェンス陣が宮城を取り囲む。
宮城、ニヤリ。 「残念!!」
ディフェンスをあざわらうかのようなパスが放たれる。
「おおおおっと、ナイスパーース!!!」
「宮城らしいプレー!!!」
外で待っていたのは木暮。
明利ベンチから声。 「木暮さん!!」
晴子も声を出す。 「木暮さんっっ!!」
三井 「よし!」
赤木が叫ぶ。 「撃てええ!!!!」
木暮のスリーポイント。
ガン!!!!
惜しくもリングに嫌われる。
「ああ……」 「外れた…!!」
桜木、立ち上がる。 「バカモーーン!!!」
洋平、ニコリ。 (顔が昔に戻ってるぞ)
しかし、まだ明利の攻撃は終わらない。
「リバーーン!!!!!!」
赤木がこのボールに飛びつく。
河田も跳ぶ。
バチィ!!
赤木の指先が一瞬早くボールを弾いた。
再び跳ねるボール。
バシイ!!!
これを花形が拾った!
「おおお!!! 花形!!!!」
「花形が獲った!!!」
ゴールからやや距離のある位置から、
花形、シュート
と、見せて、ノールックパス。
「なにいいい!!!??」
深体大の守備陣は全員跳んでいた。
完璧なシュートフェイク。
「上手ああーーーい!!!!」
「さすがは花形!!!」
技巧派センター、花形透の真骨頂。
藤真、握りコブシ。 「花形!」
神、ニコリ。 「ナイスパス」
ボールは再び木暮へ。
桜木が思わず叫ぶ。
「今度こそ決めろ!! メガネ君!!!!」
木暮、二度目のスリーポイントシュート。
三井 (来た!)
ザシュ!!!!!
深体 79
明利 70
「来たーーーーーーーーーーー!!!!!!」
「木暮が決めたああああーーーー!!!」
明利ベンチが飛び上がって叫ぶ。
「いよーーーっしゃああああーー!!!!!!」
「木暮さん!!!」 「ナイッシューーー!!!!!」
バチン!!!
赤木と木暮がハイタッチ。
「よーーーーーっし!!!!」
諸星 「コイツら……」
河田 「相変わらずしぶてえな」
晴子 「桜木君、やった!!」
桜木 「ハルコさん!!」
洋平 「おいおい、湘北かよ…」
逆ブロックの観客席では三井がコブシを握っていた。
三井 (よく決めた、木暮!)
明利が点差を一桁にする。
「来た来た来た!!!!!」
「これがミラクル明利だ!!!」
「まだ分からねえ!! アイツらならやりかねねえ!!」
明利ベンチでは、さきほどまでふて腐れた顔をしていた
荒石が大声を出していた。
「オラア!!! 一本止めろお!!!!」
グッとコブシを握り、声を出している。
それを見て、竹村が微笑む。
(ミラクル明利へようこそ)
深体大の攻撃。
牧のカットインから、外の諸星へ。そしてインサイドへ。
ボールを受けた河田、フェイダウェイで赤木のブロックを越す。
ザシュ!!
深体 81
明利 70
深体大が再度突き放す。
ここでミスをしないのが王者たる所以。
だが、明利ベンチは勿論、観客席も静まり返らなかった。
「ドンマイドンマイ!! 一本返せ!!!」
「明利ファイトオオオオーーー!!!!」
まるで観客席に、明利の魂が乗り移ったかのようだった。
会場全体に、最後まで諦めない空気が広がっていた。
弥生、つぶやく。 「ミラクル明利……」
彦一、涙目。 「まさに、ミラクルや……。ぐすっ……」
そして、観客の声援に応えるかのように、赤木が決める。
バス!!!!
またもや河田からゴールを奪う。
深体 81
明利 72
「おおおおおーー!!! 赤木!!!」
「赤木さん!!!」
荒石 「ナイスだ!! ダンナ!!!!」
「よし!! 赤木!!!」
三井、立ち上がる。
そして、確認する。 「残り時間は!!?」
電光掲示板
深体 81
明利 72
残り時間 58秒
三井 「……!!!?」
コートサイドの陸川。
「あと2分でも早くこうなっていればな…」
そして
『ビビーーーーーーー!!!!!!』
『タイムアップ!!!!!!』
深体 83
明利 72
赤木 「………。」
宮城 「………。」
花形 「……。」
牧 「ふぅう…」
(最後はちょっとビックリしたな…)
河田、諸星も安堵のため息。
(ホントに気の抜けねえチームだぜ)
藤真、腕組み。
「最後は逆転しそうな怒涛の追い上げのように見えたが、
実際にはほとんど点差は詰まっていないか…」
陸川 「まだ深体大が一枚上だったな。両チームには差があった」
神 「さすがに強いですね」
三井 「チッ…。イヤになるくらい強えな…」
杉山、ニコリ。 「お前の言ったとおり、深体大が逃げ切ったな」
桜木 「オ、オウ…」
洋平、ニヤリ。 (見た目と違って意地悪だな、この人)
ポン
宮城、赤木の尻を叩く。
「ちぇっ。負けちまったな、ダンナ」
赤木 「ああ、俺たちの負けだ」
木暮 「赤木…」
赤木 「今日のところはな」
木暮 「!?」
花形 「フッ」
宮城 「まだリーグもインカレもある。牧がいる間に絶対勝つ」
木暮 「そうだな。絶対に勝とう」
花形 「オウ」
赤木
(牧、俺は必ずお前を倒すぞ。関東リーグ、インカレ、天皇杯、
覚悟して待ってろ)
関東学生トーナメント
準決勝第一試合
深体大 83
明利大 72
深沢体育大学、決勝進出。
次の話へ
大学編
目次
引用「Kの部屋」