[ 2011年03月14日 ]

#229(大学編)……思い切りのよさ

残り4分

深体 73
明利 59


諸星のスリーポイントで、点差は14にまで開いた。




『ビビーーーーーーーーー!!!!!!』



ブザーが鳴る。

明利大がタイムアウトをとった。



両軍のメンバーがベンチに戻る。



記者席。

弥生 「ちょっと明利にとっては難しい状況になったわね」

町田 「土壇場での集中力がすごい…。さすが深体大だ」



深体大ベンチ。

唐沢が声をかける。

「OK。いいプレーだった。あとはミスだけはしないように。
ターンオーバーさえしなければ問題ない」


「ハイ」

選手がうなずく。


彼らは、残り時間どうすればいいかを理解している。

そして、そうすれば勝てることも理解している。



対する明利大ベンチ。

目に力は失っていないが、明らかに疲労の色が濃い。


ほとんど交代なしでここまで戦ってきたことによる肉体的疲労の上に、
終盤立て続けに決められた精神的ダメージがのしかかる。

疲労困憊でベンチに座る選手たち。


そこに監督の指示。

「畑山、荒石と交代だ」


荒石 「な…!」


監督 「いま必要なのは得点だ。守備よりも攻撃を優先する」


荒石、これに食って掛かる。

「ふ、ふざけんじゃねえ!! 俺は交代なんかしねえぞ!!」


が、その威勢とは裏腹に、立ち上がる力はない。


ポン


宮城が肩を叩いた。

「勝つためだ」


荒石 「…!?」



急に静まった。


同時にベンチにも静寂が訪れる。

「………。」


パチン!

赤木が手を叩く。



赤木 「よし。もう開き直るしかない。とにかく攻めよう」

宮城 「畑山とタケさん(竹村)はドンドン撃ってくれ」


竹村、畑山 「オウ!」


荒石 「ケッ、負けたら許さねえぞ」

腕組みで憎まれ口を叩く。 


「わかってるよ」 宮城、ニコリ。



赤木 「失敗を恐れるな。前を向かなければ勝利はない」




『ビビーーーーーーー!!!!!!』


タイムアウトが空け、両軍メンバーがコートに戻ってくる。


明利は、畑山と荒石が交代。

深体大は、伊達に代えて樋口をコートに送り込む。



「お、メンバーが変わった!」

「畑山と樋口!! 両チームとも交代だ!」


コートサイドの藤真。

「対照的だな。かたやシューターを投入、かたやゴール下を強化だ」

腕組みの陸川。

「面白い展開だ。どちらの判断が吉と出るか」





明利ボールで試合再開。


宮城 「さあ、行くぞお!!!!!」


マッチアップは

宮城---牧
畑山---諸星
竹村---大野
赤木---河田
花形---樋口



明利がボールを回す。

深体大はしっかりとマークする。



そして、24秒タイマー残り16秒。

早い段階で明利が仕掛けた。


赤木のスクリーンを使い、畑山が一瞬フリーになる。

そこに宮城からボールが供給される。


宮城 (撃て!)




畑山、躊躇なくシュートを放った。


「おおお!! 早い!!!!」

「畑山のスリー!!」



ザシュ!!!!




深体 73
明利 62




「おおおーー!! 決まった!!!」

「畑山!! よく決めた!!!!」


明利大ベンチが立ち上がる。

「よっしゃーーー!!」

「いいぞ!! 畑山!!!」


河田雅史 (ほぉ、ここで決めてくるか、畑山)

河田美紀男 (畑山君…、スゴイや)
 


弥生 「いまのスリーは大きいわ。よく決めたわね」

中村 「なんか思い切りがよかったですね。迷いがなかった」




赤木が手を叩く。

「よし!! さあディフェンスだ! 一本止めるぞ!!」



続く深体大の攻撃。


明利とは逆に時間を使う。

24秒タイマー残り7秒からインサイドを狙った。


「大野だ!!!」

「ゴール下!!!!!」


大野(196cm)VS竹村(184cm)。ミスマッチ。


竹村が両手をあげて守るが、その上から大野がシュートを放つ。



バス!!!!



深体 75
明利 62



「ああ! 高さの差を使った!!!」

「手堅くきた!! 深体大、外してくれない!!」



観客席の三井。

「ここで一本止めたかったところだけどな」

渡邊拓也 「こういうところで返してくるのが深体大ですよね」




赤木が叫ぶ。 「かまわん!気にするな!! オフェンスだ!!」

宮城 「おうよ!!」


そして次の明利の攻撃。


さっきよりも早い時間で仕掛ける。



ビッ!!!


フロントコートに入るや否や、誰にもボールを回さず、
宮城が自らスリーを放った。


牧 (ム…)



町田 「まただ! 踏ん切りがいい!」

中村 「入りそうな気がする」(なんとなく)




ザシュ!!!!



深体 75
明利 65



「うわああああーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

「スリー、また来たーーーーーーー!!!!!!」

「今度は宮城だ!!! これで10点差!!」



宮城 「よーーーーっし!!!」




藤真 「おお、よく決めた!」


陸川が電光掲示板を見る。

残り3分20秒 10点差


陸川 「もったいないな。いまの思い切りのよさがもっと早く出てれば」

神 「さっきの連続ターンオーバー、あの時にほしかったですね」


藤真 「いや、次を止めれば…」




深体大は再び時間をかけてきた。

時間いっぱいボールを回した後、明利と同じようにスクリーンを使う。


24秒タイマー残り7秒。


樋口が赤木にスクリーン。

河田、これを使って赤木を振り切り、アウトサイドに出る。


そこに牧からボールが入った。


「河田だ!! 外でボールを持った!!」

「スリーのお返しか!?」



(まずい!) 花形が手を挙げて前に出る。



ダム!!!



瞬間、シュートモーションを止め、河田がドリブルイン!


杉山 「上手い」


「ああああ!! 河田うめえええ!!!」


ダム!

ゴールに向かって河田が突っ込む。


(来てみろ!) 赤木が待ち構える。



キュ!

河田、急ストップ。


赤木 「なに!?」


赤木のいるゴール下までは侵入せず。

そこから、ジャンプシュート。



花形 (やられた…!)


藤真 (止められず、か)



バス!!

バンクショットで沈めた。



深体 77
明利 65



「あああああ!!! 今のは上手い!!!!」

「河田雅史、冷静すぎる!!!!」



牧 「よし」

パン!

牧と河田、静かに手を合わせる。



弥生 「2連続スリーを浴びても動じないわね」

町田 「やるべきことを分かってる感じだ。本当に冷静だ」

中村 「何より外さないのが凄い。深体大は終盤、攻撃失敗ゼロだ」



腕組みの陸川。

「明利は外、深体大は中。ハッキリしているな。互いの選手交代が
いまのところどちらも当たっている」




『ビビーーーーーーー!!!』

『交代!! 青・明利!!』



竹村に代わって木暮がコートに入る。


木暮 「よし!」



ガタ……

竹村、崩れるようにベンチへ。




杉山 (アイツも限界だったか…)



「おお! 4年の木暮だ!!」

「木暮も3点があるぞ!!!」



赤木 「木暮、分かってるな。迷いはいらんぞ」

木暮 「ああ! 分かってる!」

宮城 「OK、その調子!」




陸川 「また交代だ。さあこれは吉と出るか、凶と出るか」



観客席。

桜木 「お。ここでメガネくんか」

晴子 「木暮さん、頑張って!!」





宮城 「行くぜ!!!!」



明利、再びスリー。

勢いのままに宮城が放つ。


「おおおお!! もう押せ押せだ!!!」

「明利は完全に吹っ切れてる!! 躊躇なし!!」



三井、腰を浮かせる。 「来たか!!!?」

渡邊拓也 「リズムは悪くない!」




ガン!!!!




だが、これはリングに弾かれた。



「ああっ……!! 惜しい!!!」

「三連続ならず!!!」



「チッ」 桜木、思わず舌打ち。


「フッ」 杉山&洋平、ニコリ。



そして、


「っし!!」

リバウンドは樋口がもぎ取った!



「おおおおお!! 樋口が拾った!!!」

「さすがにリバウンド強い!!」


明利ベンチの荒石 (くそっ…!!)



陸川 「これも交代の差だ。荒石を下げた明利と樋口を入れた深体大」

藤真 「なるほど」

(さっきの木暮投入でさらにサイズダウンしてるしな)



そして次の瞬間、

樋口からボールを受けた牧、すかさず前へ!


宮城 (!!?)




「なに!!??」




諸星が走っていた。


「あああああ!! 走ってる!!!!」

「いきなりの速い攻撃!!」



木暮、追いきれない。

(速すぎる……! これで出ずっぱりなのか…?)



バス!!!!


諸星、ワンマン速攻からレイアップを決める。



残り 2分30秒

深体 79
明利 65



「うわあああああ!!! これはデカい!!!!」

「3分を切ってまた14点差!!!」

「深体大、強い!!!!」




コートサイドの彦一。

「まさに虚をつくような速攻や…。さっきまで時間を使ってたのに
いきなりテンポを変えてきた」

カメラマンがうなずく。

「走っていた諸星君も見事だし、それを見逃さなかった牧君も凄い。
いまのは王者らしいプレーだなあ」



パン!パン!!


ディフェンスに戻ってきた諸星の手を、牧と河田が叩く。

「よーーし!!」



王者・深体大、ゆるぎなし。



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引用「Kの部屋」

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