東洋自動車・バスケ部体育館
「ふんぬううううううううう!!!!!!」
バシイ!!!
リバウンドをもぎとる桜木。
「よーーーっし、ナイス!! 桜木!!」
『やられちまった。また強くなってるな、サクラギ』
そう言って桜木の頭をつかむのは、外国人FWのルーサー・デビッドソン。
昨季リバウンドでリーグ4位の成績を残した203センチの黒人PFである。
桜木はこのデビッドソンと毎日ゴール下を争っていた。
桜木がデビッドソンに返事。
「おうよ、デビちん! なんたって来期からプロだからな。はっはっは」
※なんとなく褒め称えられたことは分かるらしい。こういう時桜木は
英語の意味が分からなくても偉そうに返事をするのが常だった
桜木の社会人リーグ入りは大成功だったのかもしれない。
1年間、桜木は黒人選手と体をぶつけながら練習を重ねてきた。
そして、試合でも外国人FWと戦い続けた。
チーム加入当初は何度もふっ飛ばされた。リーグ戦に出ても他チームの
黒人選手にやはりふっ飛ばされた。
高校時代は無敵のリバウンド王だった彼も、社会人リーグに入ると
外国人とのパワーの差を痛感することになったのだ。
負けず嫌いの桜木は、1年間徹底的に体を鍛えた。
現在、198㎝98kg。日本人では屈指の肉体派PFである。
「まだまだ! リバウンド王、リハビリ王に続き、筋トレ王の称号を
もらったこの桜木、せめて100kgには乗せねば…」
ここからなかなか体重が増えないのが現在の課題。
ともあれ、若手№1のリバウンダーが、こうして誕生したのだ。
デビッドソンがつぶやく。
『サクラギ筆頭にこのチームは面白いな。移籍して正解だった』
「サンキュー! デビちん」
※褒められた時だけ何となく分かる桜木
デビッドソンは、昨年東洋自動車に移籍してきた男だった。
つまりチーム在籍歴としては桜木と同期。
彼は一昨年、イサキ自動車というチームにいた。
イサキ自動車はリーグ制覇を何度も果たした名門だった。
デビッドソンは、そんな優秀なチームからなぜ移籍したのか。
チームがなくなったからだった。
バスケットボールという決してメジャーではない競技ではよくある話。
バスケ部が廃部となったのだ。マイナー競技の現状。
そして彼は移籍した。またイサキ自動車の他の主力も各チームに分散した。
イサキ自動車は崩壊後、本拠地の横浜でクラブチームとして再始動している。
クラブ名は「横浜ドリームス」。
チーム存続という「夢」をそのまま名前にしたのだ。
主力は大半がいなくなってしまったが、残った数人の若手を軸に、
今はNBL入りを目標に活動している。
本拠地となるスタジアムの確保や、資金、人材など問題は山積みだが
本気でプロリーグ入りを目指している。
彼らはチーム消滅の際、なぜ諦めなかったのか。
これは、このクラブの若きエースによるところが大きい。
2年前、イサキ自動車には高卒選手がいた。
桜木の1年前に高卒で社会人入りしたその選手は、天才ルーキーと呼ばれ
杉山を含む大卒選手を押しのけて新人王を獲得している。
その天才選手の名は、仙道彰。
高校三年生時に全国ベスト4まで進んだ実績を持つオールラウンダー。
イサキ自動車バスケ部解散後、彼は他チームには移籍せず存続のために残った。
彼が残ったことは、チームの支えとなっていた。
チームメイトは仙道さえ残っていれば何とかなるんじゃないかという
希望を頼りにクラブで活動を続けているのだ。
そして、このクラブには神奈川出身の優秀な選手がやってきていた。
1人は仙道と同じ年の選手。
大学を1年で中退してこのチームにやってきた。
もう一人は仙道の1個下の選手。
アメリカに渡った流川、社会人リーグ入りした桜木に刺激を受け
大学進学以外の道を希望し、このクラブを選んだ。
イサキ自動車体育館(現在は横浜ドリームスが間借り中)。
ドガ!!!
ダンクシュートがリングを揺らす。
仙道が声をかける。 「ナイス! 福田!!!」
ドガ!
再びダンクシュートが炸裂。
仙道がニコリ。 「ナイス! 清田!!!」
そこには心からバスケを楽しむ男達の姿があった。
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大学編
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引用「Kの部屋」