翔陽 74
陵南 75
決勝への切符を掴んだのは陵南高校。
歓喜の陵南。
仙道がモミクチャにされている。
越野が仙道の頭を叩く。彦一が抱きつく。
「仙道!!! やりやがったなコノ野郎!!!!」
「仙道さん!!!!!最高です!!!!」
「仙道!!!」 「仙道さん!!!!!!」
仙道は笑顔で頭を抱えていた。
魚住と池上は笑顔でその様子を見ている。
田岡は涙をこらえるような表情だ。
「ついに陵南が、俺のチームが翔陽を倒した……」
田岡が陵南高校を率いるようになって、何度目の挑戦だろうか。
彼はこれまで、海南と翔陽には一度も勝てなかった。
神奈川で一番大きな選手と、10年に一度の逸材と呼ばれる天才を
もってしても、二強の壁は破れなかった。
しかも夏に更なる悲劇。打倒二強の野望は湘北に先を越されてしまう。
明らかな格下だった湘北が、田岡が求めた人材が集まった湘北が、
田岡の陵南よりも先に翔陽を倒したのだ。
さらにその湘北との直接対決でも敗れ、田岡はずっと重い責任を感じていた。
藤真の翔陽と、牧の海南を倒すチャンスは、この選抜しかなかった。
田岡は天井を見ていた。顔を下げると涙がこぼれそうだったからだ。
(仙道……、よくやった……!! よくやってくれた…!!
お前をスカウトして本当に良かった)
目をつぶったままコブシをグッと握り締めていた。
(植草、越野…、お前らで勝てたことが何より嬉しい。三井や流川が
いないこの陵南で、翔陽を倒したことに価値がある…)
観客席から高頭が見つめていた。
(田岡先輩…、魚住抜きのチームでよくぞ翔陽を倒した。仙道の活躍は
もちろんだが、あなたの采配もこの勝利の要因だ。さすがです…)
「監督、整列です。一度ベンチに戻りましょう」
彦一が田岡の背中を押す。目をつぶったまま、田岡はベンチに戻った。
整列。
藤真と仙道が握手。
藤真は無言だった。仙道も無言だった。
陵南ベンチに再び歓喜が訪れる。
仙道が優しい笑顔でベンチに戻ってくる。 「ふぅう、疲れたなあ」
植草も笑顔、越野はガッツポーズ、菅平は疲れきった表情、
福田は無表情だが、嬉しさはにじみ出ていた。
陵南のメンバーが殊勲の5人を迎える。
早く5人と騒ぎたい。待ちきれないという顔で待っている。
観客席にいたベンチ外のメンバーもコートに降りてきていた。
そして、魚住、池上も。
大声がこだまする。
「仙道、やったーーーーーー!!!!」
「すげえよ、お前!!!!ホントにすげえよ!!!!」
「ついに翔陽に勝ったああーーー!!!!」
「仙道さん!!一生ついていきます!!!」
魚住、しかめっ面。 (俺はそんなこと言われたことねえぞ…)
池上がニヤリと笑って肩を叩く。
「頼もしい後輩だな。お前を見て頑張ってきた選手たちだぜ」
田岡が魚住に気づいた。今まで魚住に見せたことのない笑顔を見せた。
魚住(俺も田岡先生にあの喜びを味わわせてやりたかったな…)
観客席の牧は、翔陽がコートから去る背中をじっと見ていた。
神が声をかける。
「牧さん、残念でしたね。牧さん対藤真、最後の勝負を俺も見たかったな…」
牧が返す。
「まあな…。だが恐ろしい男が決勝に上がってきた。それを忘れちゃいかん」
藤真健司が高校バスケの舞台から去った。
だが、牧紳一と藤真健司の勝負はここで終わったわけではなかった。
彼らは再び大舞台での勝負のときを迎えることになる。
が、それはもう少し後の話――――――
選抜神奈川県予選。
決勝のカードは海南×陵南に決定した。
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選抜編
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引用「Kの部屋」