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<プレビュー>
ボストン・セルティックスが優勝した2007-08シーズン、プレイオフで最もセルティックスを苦しめたのは、レブロン・ジェイムス率いるクリーブランド・キャバリアーズだった。当時、両チームはイースタン・カンファレンス準決勝で対戦し、最終戦である第7戦目までもつれるドッグファイトを展開した。
それから2年後の今シーズンのプレイオフでは、当時の立場が逆転したと言えるかもしれない。
セルティックスよりもレギュラーシーズンで11勝多い勝利数を記録したキャブス、そしてプレイオフが始まるなり調子を上げてきたセルティックスの両チーム共に、ファーストラウンドを第5戦で突破している。もう1つの共通点は、両チーム共にホームゲームに強いということだろう。
セルティックスは過去3年間のプレイオフで、ホーム25試合中21勝、そしてキャブスも16試合中14勝と圧倒的な戦績を残している。そして、セルティックスがケビン・ガーネット、レイ・アレンを獲得して以降の両チームの対戦成績をみると、それぞれホームゲーム19試合で17勝を挙げているため、ホームコートアドバンテージが鍵になり得ることがわかる。
ここ2シーズンを使って補強を進め、念願の優勝を目標とするキャブス、そしてプレイオフに入ってから、優勝した当時のような強いプレッシャーをディフェンスで発揮出来るようになったセルティックスが対戦するのだから、決して一方的なシリーズにはならないだろう。
<ポイント>
・レブロン・ジェイムスの右肘の状態はシリーズに影響するか?
キャブスにとっては2通りの見方が出来る。
1つは、セルティックスは堅固なディフェンスでインサイドへの侵入を防ごうとするため、自ずとキャブスはジェイムスのアウトサイドからのショットが必要になるということ。
そして2つ目は、ファーストラウンドのシカゴ・ブルズ戦で右肘に違和感を覚えたジェイムスだったが、それでもシリーズ平均31.8得点、9.2リバウンド、8.2アシストとハイアベレージを残したために、大した影響はないと見る考え方だ。
・2年前同様に激しい争いになるか?
シリーズの大半は激しい試合になるとみる。しかし、2年前のシリーズではシリーズ平均85-84と非常に僅差の戦いだったことがわかるものの、今シーズンのプレイオフでは事情が違ってくる。
キャブスはファーストラウンドでリーグ3位のオフェンス、そしてセルティックスもターンオーバーさえ無ければ説得力十分な攻撃力を誇っている。つまり、2年前と比べ、両チーム共に必ずしもディフェンシブな状態ではないということ。ディフェンスに穴があれば、僅差での争いにはならないかもしれない。
・場外乱闘は起こるか?
ハッキリしていることは、キャブスもセルティックスも互いに敵視しあっているということだ。だが、マイアミ・ヒートとのファーストラウンドで、ガーネットは必要以上のファウルが出場停止処分になるということを、身を持って体験した。
激しいプッシング、そして小競り合いは見られるだろうが、両チーム共に出場停止処分は影響が大き過ぎることを理解しているはずだ。
・今季からキャブスに加入したシャキール・オニール効果は期待出来るか?
シャックの過去3シーズンでの対セルティックス戦の成績をみると、平均12.4得点、8.8リバウンド、FG成功率58%を記録する等、比較的活躍していることがわかる
だが、セルティックスにはスクリーン・アンド・ロール、そしてスムーズなボール回しがあるため、ディフェンス面で不安要素となる可能性は否定出来ない。
・注目すべきスタッツは?
ターンオーバー数だろう。
両チームはレギュラーシーズンで対戦した4試合ではミスが少なかったが、セルティックスはヒートとのファーストラウンドでターンオーバーからのリズムを失う姿が目立った。固いディフェンスから立ち直る術を持っているとはいえ、不用意なプレイが命運を分けることになりかねない。何故なら、オープンな状態になったレブロン・ジェイムスほど恐いプレイヤーは、リーグには存在しないのだから。
<予想スタメン>
キャブス vs セルティックス
PG モー・ウィリアムス vs レイジョン・ロンド
SG アンソニー・パーカー vs レイ・アレン
SF レブロン・ジェイムス vs ポール・ピアース
PF アントワン・ジェイミソン vs ケビン・ガーネット
C シャキール・オニール vs ケンドリック・パーキンス
<ゲーム1>2010/05/02
イースタン・カンファレンス・セミファイナル第1戦、ボストン・セルティックス対クリーブランド・キャバリアーズは、前半こそレイジョン・ロンド率いるセルティックスに苦戦したキャブスだったが、後半からレブロン・ジェイムスを中心に巻き返し、101-93でホームでの初戦を制した。
主力選手が高齢になってきたため、優勝した2シーズン前と比べ、明らかにチーム力を落としている、とレギュラーシーズン中から指摘されていたセルティックスだったが、ジェイムスは、そんな報道を頭から否定してきた。
「皆セルティックスの実力が下がったとか、もうモチベーションが落ちているなんて言うけれど、僕はそんなトラップには引っかからない。今のセルティックスは新たなチャレンジに向かうだけの準備を整えている。ヒートとのファーストラウンドを見れば、彼らがどれだけ優勝したいと考えているかがわかるじゃないか。彼らだけじゃなく、スパーズも似た感じだね。レギュラーシーズンでの結果より、もっと大きなゴールのためにプレイしている」と話し、警戒感を強めていた。
ジェイムスの予感は的中、前半のペースを握っていたのは確実にセルティックスだった。ロンドがテンポを作り、自身もハーフタイムまでに19得点を記録、セルティックスが54-43とリードして後半戦へ。
後半、キャブスはロンドにアンソニー・パーカーをマッチアップさせ、試合のテンポを変えようとする。この狙いがはまり、徐々に流れがキャブスの方に傾き始める。
ジェイムスを中心に、モー・ウィリアムスが珍しいダンクを含む14得点を第3Qで挙げる活躍をみせ、キャブスが21-9のランをみせ、第3Q終了までに79-78と逆転に成功。
第4Qも接戦となったが、残り1分48秒にジェイムスがジャンパー、そして残り22.9秒にはトドメとなる3Pを決めて、キャブスが第1戦に勝利した。
ポール・ピアース越しにダンクを決めたウィリアムスは、「ポールがマークについていたのは見えていた。それなりに説得力のあるプレイをする必要があると思ってね」とコメントした。
ここ1ヶ月間、右肘の違和感に悩まされているジェイムスは、「試合中に身体が温まってほぐれた。何があっても、僕自身、そしてチームは言い訳はしない。全員で一丸となってセルティックスと勝負しに来ているんだ」と力強く語った。
勝ったキャブスは、ジェイムスが35得点、7リバウンド、7アシスト、ウィリアムスが20得点、シャキール・オニールが11得点を記録した。
一方のセルティックスは、試合前にドック・リバースHCが、「我々は年をとった。それは本当のことだ。老体に鞭打って、何が出来るかやってみるさ」とジョークで笑いを誘ったが、ロンドを起点にピアース、ケビン・ガーネット、レイ・アレンらが躍動。敗れはしたが、2008年以来カンファレンス・セミファイナルで対戦するキャブスとのシリーズが長引くことを予感させるだけのプレイをみせた。
敗れたセルティックスは、ロンドが27得点、12アシスト、ガーネットが18得点、10リバウンド、アレンが14得点、ピアースが13得点を記録した。
フル動画
<ゲーム2>2010/05/04
イースタン・カンファレンス・セミファイナル第2戦、ボストン・セルティックス対クリーブランド・キャバリアーズは、セルティックスが試合を通して最後までバランスの良いオフェンス、そしてディフェンスでも一丸となってキャブスを抑え、104-86で快勝。シリーズを1-1のイーブンに戻した。
<ゲーム3>2010/05/08
プレイオフ・セカンドラウンド第3戦、クリーブランド・キャバリアーズ対ボストン・セルティックスは、レブロン・ジェイムスが38得点、8リバウンド、7アシストを記録する大活躍をみせ、キャブスが124-95で完勝し、シリーズを2-1とリードした。
キャブスは試合開始からジェイムスが精力的に動いて試合のテンポを作ると、第1Q終了までにジェイムスが21得点をマーク。チームも勢いに乗りハーフタイムまでに65-43と20点以上の大差をつける。
キャブスは第2戦まで好調だったセルティックスのレイジョン・ロンドに対し、アンソニー・パーカーをぶつけ、簡単にパスを出させなかった。また、モー・ウィリアムスがポール・ピアースをトップ・オブ・ザ・キー周辺でしっかりと抑えることでスクリーンをセットさせず、結果的にレイ・アレンにもオープンなスペースを与えずに済んだ。そして第2戦までアントワン・ジェイミソンにポスト内で徹底的に仕事をさせなかったケビン・ガーネットが、試合開始から7分で僅かに2本のショットしか打てず、2回目のファウルをコールされてベンチ待機を余儀なくされる等、キャブスがセルティックスの歯車を全て狂わせた。
キャブスのJJ・ヒクソンは、「ロンドをペイント内に侵入させずに、ジャンプショットを打つようにもっていけた。やり辛さを感じていたようだったね」と語った。
キャブスは後半も20点差以上のリードを保ち、第4Q早々に試合を決めた。
マイク・ブラウンHCは、「ジャンプボールからレブロンが試合の流れをセット出来たことが大きかった」と、ジェイムスを称えた。
ジェイミソンは、「第2戦では自分達のプレイが出来なかったけど、そんなことは忘れてプレイした」と語った。
勝ったキャブスは、ジェイムスの他に、ジェイミソンが20得点、12リバウンド、デロンテ・ウェストが14得点、シャキール・オニールが12得点、9リバウンドを記録した。
一方、プレイオフでのホームゲームで、チーム史上ワーストとなる大敗を喫したセルティックス。相手ホームで勝利した第2戦の勢いをホームで持続させることが出来なかった。
ピアースは、「ホームで今日のような負け方をするのは、恥ずべきこと以外の何物でもない」と、大敗に厳しい表情をみせた。
ドック・リバースHCは、「レブロンが試合開始からアタックしてくることはわかっていた。彼がボールを奪うと、チーム全体に勢いがつく」と、ジェイムス1人にやられたと強調。続けて、「それ以外に敗因を挙げるとすれば、ボールが回らず、ケビンまで辿り着かなかったこと。それにチームとしての機能しなかったことだ」と語った。
敗れたセルティックスは、ガーネットが19得点、ロンドが18得点を記録した。
<ゲーム4>2010/05/10
ホームで行われたプレイオフ、セカンドラウンド第3戦で、クリーブランド・キャバリアーズに大敗を喫したボストン・セルティックスだったが、第4戦は 97-87と気迫で勝利。2勝2敗のイーブンに戻し、第6戦に再びボストンに戻る切符を勝ち取った。
PGのレイジョン・ロンドが29得点、13アシスト、18リバウンドと、プレイオフ史上わずか3人目となる数字のトリプルダブルを達成。「チームとして速攻を始めるベストな方法は、自分がリバウンドを取ることなんだ。できるだけリバウンドを取ってビッグマンたちを助けようとした。チーム一丸となって掴んだ勝利だよ」と、チームの危機を救ったロンドは笑顔を見せた。
<ゲーム5>2010/05/12
イースタン・カンファレンス・セミファイナル第5戦、ボストン・セルティックス対クリーブランド・キャバリアーズは、セルティックスが120-88で圧勝し、シリーズ3-2とリード。カンファレンス・ファイナル進出に王手をかけた。
レギュラーシーズン中は苦しい戦いを強いられたセルティックスだったが、ここにきて、2008年に優勝した当時の勢いを取り戻しつつある。
第5戦では、レイ・アレンが25得点、ポール・ピアースが21得点、11リバウンド、ケビン・ガーネットが18得点とビッグ3が活躍。ピアースは第4戦まで不振に喘いでいたが、ロードでのこの第5戦では、オフェンスに加え、ディフェンスでもレブロン・ジェイムスをマークしFG14本中3本の僅か15得点に抑える活躍をみせた。
またセルティックスは、レイジョン・ロンドが16得点、グレン・デイビスも15得点と、優勝を経験したメンバーが徐々に良い流れを掴み始めている。
ドック・リバースHCは、「チームにヒーローは要らない。我々はチームとして機能していれば、勝てるチームになれる」と、チームプレイで得た結果と強調した。
セルティックスは、リバウンド数(41-31)とアシスト数(25-20)で上回り、ターンオーバー(10-17)も相手を下回る数字に。第3Q終盤までにリードを20点に広げ、最終ピリオドを待たずして試合を決定付けた。
リバースHCは、「今日のキーマンはベテラン陣だった。彼らはこういう空気の戦いを以前にも経験しているからね」とコメントした。
次の第6戦はホーム開催となる。しかしガーネットは決して気を緩めてはいけないと、勝利後も警鐘を鳴らした。「第7戦のような危機感を持ってプレイしないと勝てない。今シーズンのリーグベストチームとのシリーズで、彼らに有利な第7戦までもつれるようでは、俺達が勝つのは難しいかもしれないからね」と語った。
一方、追い込まれたキャブスは、シャキール・オニール(21得点)以外には目立った選手はおらず、シリーズ敗退の窮地に立たされることになった。
ジェイムスは、前半FGを1本も決めることが出来ず、試合を通して苦しい展開を変えられなかった。
ジェイムスは、「普段なら外さないようなショットをミスしてしまった。僕がそういうプレイをみせるのは稀なことだから、皆驚いたかもしれないね」と、不甲斐ない内容に落胆した。ジェイムスは続けて、「もう負けられない。前にも相手ホームで勝っているし、とにかく次の試合に勝つ他に道はない」と語った。
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<ゲーム6>2010/05/14
プレイオフ、セカンドラウンド第6戦、ボストン・セルティックスがホームで、クリーブランド・キャバリアーズを94-86と粉砕。4勝2敗とシリーズを制し、2年ぶりのカンファレンス・ファイナル進出を決定した。
2連連続リーグMVPに輝くレブロン・ジェイムスを擁し、2年連続リーグトップの成績を挙げたキャブスには、今年こそ悲願の優勝を達成するのではと大きな期待が向けられた。だがファーストラウンドでシカゴ・ブルズを4勝1敗と破った後、セカンドラウンドでは初戦と第3戦こそ勝利したものの、残る4戦は接戦に持ち込むこともなく敗れ、ここで姿を消した。
試合後半、セルティックスが主導権を握る展開の中、キャブスもジェイムスが第4Q 序盤には2本連続3ポイントを成功させて78-74と4点差、また残り3分にはアンソニー・パーカーの3ポイントで91-83と7点差に追い上げて、意地を見せる。だがその後ジェイムスのレイアップがファウルのコールもなく外れ、レイジョン・ロンドに速攻のチャンスを与えて再び離され、万事休すとなった。
勝利したセルティックスのドック・リバースHCは、「トレーニングキャンプでは2年前より良かった。シーズン途中で崩壊しかけたが、全員が元の軌道に乗せようと必死だった」と、笑顔を見せた。
第1戦から、ケビン・ガーネットはキャブスのディフェンダーをことごとく粉砕。第6戦ではシャキール・オニールを充てたが効を奏せず、「シャックが来たとしても、いつも通りのプレイをした」と言うガーネットは、22得点、12リバウンドと気を吐いた。
キャブスのブラウンHCも「我々にとってはタフなマッチアップだった。ガーネットに集中して得点は与えなかったとしても、そうなると他の選手にリバウンドを取られ、簡単にレイアップを決められた。シリーズを通して本当にすごいプレイをされたよ」と、ガーネットには頭を悩まされたようだ。
セルティックスではレイジョン・ロンドが21得点、12アシスト、ポール・ピアースとラシード・ウォーレスがそれぞれ13得点を記録したが、ピアースは「キャブスとのシリーズを制したことは嬉しいが、我々の目標はあくまで優勝だ」とコメントした。
一方、「目指すは優勝あるのみ」とシーズンを通して目覚ましい働きを続けたジェイムスは、この第6戦でも27得点、19リバウンド、10アシストとトリプルダブルの活躍をした。だがターンオーバー9と不用意なプレイも目立ち、チームメイトの援護も少なく、「ボストンは信じられないシリーズとした」と完敗を認めた。
キャブスではモー・ウィリアムスが22得点、優勝請負人として加わったシャキール・オニールも11得点を挙げたが、二桁得点は3人のみ、全体で38.4% のFG成功率にとどまった。
試合後、ガーネットとレブロンが肩を抱き合うシーンがあった。その際、今夏FAになるジェイムスにガーネットはこんな言葉を送っていた。
「前を向いて頑張れ。自分も優勝するまで何年もかかった。君には非常に明るい将来がある。自分と家族のために決定をしろ」。
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